第5回 日本語が、子どもの未来の選択肢を増やす
こんにちは。 カナダ在住17年、2児の母。日本で小学校教師として11年間勤務し、現在は補習授業校教師、継承語教育アドバイザーとして活動している理恵です。 このコラムでは、「子どもに日本語を続けてほしい。でも、親子バトルにはしたくない」そんな海外子育て中のご家庭に向けて、細く、長く、日本語が続いていく「おうち日本語」をテーマに、継承語教育の考え方と、毎日の暮らしの中で実践できるヒントをお届けしています。 前回は、「おうち日本語を続けるための7つの土台」の3つ目として、小さいうちから日本語のシャワーをたっぷり浴びることについてお話ししました。 今回は、7つの土台の4つ目。 日本語が、子どもの未来と可能性につながる というお話です。 ここでいう「日本語のシャワー」とは、ただ一方的に、たくさん話しかけることではありません。子どもの興味や反応を受け取りながら、日本語で笑い、遊び、気持ちをやり取りする時間を重ねていくことです。 今は使わなくても、未来でつながる 海外で子育てをしていると、子どもが日本語を使う場面は、どうしても家庭の中が中心になります。現地校では現地語。友だちとの会話も現地語。成長するほど、「この先、日本語は本当に必要なのかな」と迷う日もあるかもしれません。けれど、日本語は「今すぐ役に立つか」だけで考えるものではありません。今は見えていなくても、10年後、20年後に、人や場所、新しい経験とつながる入口になることがあります。日本語があることで、子どもの未来にどんな道が増えるのでしょうか。三つの面から見てみましょう。 1.日本語で出会える人が増える 二つの言葉に触れると、混乱する? 日本にいる祖父母や親戚と話す。日本を訪れたときに、同年代の子と仲良くなる。自分と似た背景を持つ人と、気持ちを分かち合う。日本語は、こうした出会いを深めるためのことばになります。同じ内容でも、使うことばによって伝わる温度や表情は少しずつ違います。日本語で話せるからこそ聞ける家族の思い出や、心に残る一言もあります。ことばが一つ増えることは、出会える人が増えること。その出会いが、子どもの興味や世界を広げてくれるかもしれません。 2.自分のルーツを、自分のことばで知る 日本語を増やそうとすると、つい「もっと話さなければ」と考えてしまいます。けれど、言葉を育てるうえで大切なのは、話しかける量だけではありません。 日本にいる祖父母や親戚と話す。日本を訪れたときに、同年代の子と仲良くなる。自分と似た背景を持つ人と、気持ちを分かち合う。日本語は、こうした出会いを深めるためのことばになります。同じ内容でも、使うことばによって伝わる温度や表情は少しずつ違います。日本語で話せるからこそ聞ける家族の思い出や、心に残る一言もあります。ことばが一つ増えることは、出会える人が増えること。その出会いが、子どもの興味や世界を広げてくれるかもしれません。日本語に触れていると、日本の行事、食べ物、物語、歌、考え方にも出会います。「ママは、子どもの頃どうしていたの?」「この言い方には、どんな気持ちが入っているの?」そんな会話から、子どもは家族の歩みや、自分につながる文化を少しずつ知っていきます。自分の背景を知ることは、どちらか一つの文化を選ぶことではありません。二つ以上の文化に触れながら、「自分には、いろいろな面がある」と思えることです。自分のルーツを大切にできる経験は、友だちの家庭のことばや文化を知ったときにも、「違っていていい」と受け止める力につながっていきます。 3.将来の選択肢が増える 日本語を続けていると、将来、日本へ留学する、働く、暮らすという道を考えられるかもしれません。日本語を使う仕事や、二つの国をつなぐ活動に興味を持つこともあるでしょう。もちろん、日本語を続けたからといって、必ず日本に関わる仕事をするわけではありません。それでいいのです。大切なのは、子どもが大人になって「やってみたい」と思ったとき、選べる道が残っていること。日本語は、未来を決めるものではなく、未来の選択肢をそっと増やしてくれるものだと思います。 才能は、人との出会いの中で見つかる 子どもが現地語で答えたときも、まずは内容や気持ちを受け取ります。そのうえで、ママは日本語で自然に返したり、子どものことばを日本語にして添えたりします。言い直しを毎回求めなくても、日本語の表現を耳にする機会はつくれます。 […]

