教育

第7回 漢字につながる言葉を、家庭の会話にどう取り入れる?

こんにちは。 カナダ在住17年、2児の母。日本で小学校教師として11年間勤務し、現在は補習授業校教師、継承語教育アドバイザーとして活動している理恵です。 このコラムでは、「子どもに日本語を続けてほしい。でも、親子バトルにはしたくない」そんな海外子育て中のご家庭に向けて、細く、長く、日本語が続いていく「おうち日本語」の考え方と、毎日の暮らしの中で実践できるヒントをお届けしています。 前回は、「漢字の壁を越える鍵は、語彙力」というお話をお届けしました。 今回は、「おうち日本語を続けるための7つの土台」の6つ目。 日々の暮らしの中で、語彙を増やす方法 というお話です。 特別な教材を用意しなくても、視点を少し変えるだけで、毎日の会話が子どもの語彙を育てる時間になります。 1.語彙を増やすきっかけは、毎日の中にある 子どもの語彙を増やすために、特別な勉強を始めなくてはならないと思っていませんか?実は、語彙を育てるきっかけは、朝の支度、食事、学校から帰ってきたときの会話など、毎日の暮らしの中にたくさんあります。大切なのは、子どもに日本語を言わせることだけではありません。親が日本語で受け止め、日本語で返していくことも、子どもの語彙を育てる大切な時間になります。 2.「日本語で言って」を少し減らしてみる お子さんが現地語で話しかけてきたとき、「もう一回、日本語で言って」「ママは英語が分からないから、日本語で言って」と返すことはありませんか?日本語を話してほしいからこその言葉ですが、毎回言い直しを求められると、子どもにとって会話そのものが負担になることがあります。もし10回言っているとしたら、まずは2回くらいに減らしてみましょう。現地語で話すことを注意する代わりに、子どもが伝えた内容を、親が自然な日本語にして返します。 3.子どもの言葉を、日本語にして返してみる 例えば、お子さんが現地語で、「今日、学校で新しいゲームをしたよ」と話したとします。そんなときは、「学校で新しいゲームをしたんだね。どんなゲームだったの?」と、日本語で返してみます。子どもが日本語で答えなくても大丈夫です。子どもが話した内容を日本語にして返すことで、「自分が伝えたかったことは、日本語ではこう言うんだ」と自然に耳にすることができます。会話を止めずに、日本語の言葉を渡していく。それだけでも、子どもが日本語に触れる時間は増えていきます。 4.ひと言加えると、会話が広がる 現地語で話しかけられたとき、「分かった」「すごいね」「へえ、そうなんだ」だけで会話が終わってしまうこともあります。もちろん、それだけの日があっても大丈夫です。 少し余裕がある日は、「楽しかったんだね」「びっくりしたの?」「一番おもしろかったのは、どんなところ?」と、ひと言だけ加えてみましょう。 親が使う言葉が少し増えると、子どもが耳にする日本語も少しずつ増えていきます。 5.一日一回から始めてみよう おうち日本語は、親が一日中、日本語を教え続けることではありません。子どもが現地語で話しても、その内容を日本語で受け止めて返す。いつもの返事に、別の言葉を一つ添える。その小さな積み重ねが、子どもの中に日本語の言葉をためていきます。そこで出会った言葉は、後になって漢字を学ぶときにも、「聞いたことのある言葉」として理解を助けてくれます。まずは今日、お子さんが話したことを一度だけ、日本語にして返してみませんか?毎日の暮らしの中に、おうち日本語のアイディアはたくさんあります。 […]