
海外で子育てをしながら、
「子どもに日本語を続けてほしい」
そう願っているのに、どう続けたらいいのか分からない。
そんなママへ。
はじめまして。
カナダ在住17年、2児の母。
元小学校教師として11年間勤務し、現在は補習授業校教師、継承語教育アドバイザーとして活動している理恵です。

このコラムでは、
「子どもに日本語を続けてほしい。でも、親子バトルにはしたくない。」
そんなご家庭に向けて、
細く、長く、日本語が続いていく「おうち日本語」
をテーマに、継承語教育の考え方と、毎日の暮らしの中で実践できるヒントをお届けしていきます。
日本語は、自然に続くものではない
海外で子育てをしていると、多くのご家庭がこんな悩みに出会います。
日本語で話しかけても、現地語で返ってくる。
日本語の本を読んで欲しいのに、なかなか手に取らない。
漢字が出てきた途端に、子どもが嫌がる。
補習校や日本語学習の宿題をめぐって、親子でぶつかってしまう。
「ママが日本人だから、日本語は自然に身につくはず」
そう思っていたのに、現実はそう簡単ではありません。

たとえ家庭の中に日本語があっても、子どもたちは日々、現地校、友だち、習い事、動画、本など、たくさんの現地語の環境の中で育っています。
年齢が上がるほど、生活の中心は少しずつ現地語へ移っていきます。
だからこそ、海外で日本語を続けるためには、ただ「やらせる」のではなく、家庭の中に日本語が戻ってこられる場所をつくっておくことが大切です。
大切なのは、勉強法の前に「土台づくり」
これまで私は、日本の小学校教師として11年間、子どもたちと向き合ってきました。

現在は海外の補習授業校で日本語を教えながら、継承語教育を学び、継承語教育アドバイザーとしても活動しています。
また、幼児日本語教師として、小さいうちからの日本語環境づくりにも関わってきました。
その中で強く感じていることがあります。
日本語が細く長く続いていくご家庭と、途中で苦しくなってしまうご家庭。
その違いは、子どもの才能や性格だけではありません。
ご家庭の中で、日本語をどのように捉え、どのように関わっていくか。
つまり、「日本語との向き合い方」がとても大きいのです。
漢字をどう覚えるか。
音読をどう続けるか。
宿題をどう終わらせるか。
もちろん、それも大切です。
でも、その前に必要なのは、
「わが家は、なぜ日本語を続けたいのか」
「子どもにとって、日本語はどんな意味を持つのか」
「親子でどんな未来につなげていきたいのか」
という土台です。

この土台がないまま日本語学習だけを進めようとすると、いつの間にか日本語が「やらなければいけないもの」になってしまいます。
でも、日本語は本来、親子をつなぎ、家族をつなぎ、子どものルーツや未来につながっていくことばです。
これからお届けしたいこと
この連載では、まず最初に、おうち日本語を続けるために知っておきたい「7つの土台」についてお届けしていきます。
- 1つ目は、日本語が子どもたちのルーツになるというお話。
- 2つ目は、日本語が親子をつなぐコミュニケーションツールであるというお話。
- 3つ目は、小さいうちから日本語のシャワーを浴びる環境が大切だというお話。
- 4つ目は、日本語が子どもたちの未来や可能性につながるというお話。
- 5つ目は、漢字の壁を乗り越えるために、実は語彙力が大切だというお話。
- 6つ目は、毎日の暮らしの中で、視点を変えるだけで日本語のアイディアはたくさん見つかるというお話。
- 7つ目は、ルーツとしての日本語が、子どもたちの感性や多言語の力にもつながっていくというお話。
この7つを、これから順番にお届けしていきます。
おうち日本語は、完璧を目指さなくていい
海外で日本語を続けていると、つい周りと比べてしまうことがあります。
あの子は漢字が読める。
あの子は日本語で作文が書ける。
あの家庭は毎日しっかり勉強している。
そう感じると、焦ってしまいますよね。
でも、おうち日本語は、完璧を目指すものではありません。
毎日きっちり勉強できなくてもいい。
日本語だけで会話できない日があってもいい。
現地語が混ざる日があってもいい。

大切なのは、日本語が子どもの生活から完全に消えてしまわないこと。
そして、子どもにとって日本語が「怒られる時間」ではなく、「家族とつながることば」として残っていくことです。
細くても、長く。
少しずつでも、続けていく。
その積み重ねが、10代になった時、そしてその先の未来で、子どもたちの中にあたたかく残っていくと私は信じています。
次回予告
次回は、
「日本語は子どもたちのルーツになる」
というテーマでお届けします。
なぜ、海外で日本語を続けるのか。
日本語が子どもたちの中にどんな形で残っていくのか。
一緒に考えていきましょう。
海外で子育てをしながら、日本語を続けることは決して簡単なことではありません。
でも、毎日の小さな積み重ねは、きっと子どもの未来につながっていきます。
このコラムが、おうち日本語に悩むご家庭の「今日からやってみよう」のきっかけになればうれしいです。
それでは、また次回お会いしましょう。
ルーツとしての日本語で、子どもの未来と家族をあたたかく。
理恵
著者プロフィール
理恵|継承語教育アドバイザー
カナダ在住17年、2児の母。元小学校教師として11年間勤務し、現在は補習授業校教師として子どもたちに日本語を教えている。
継承語教育を専門的に学び、継承語教育アドバイザー・幼児日本語教師として、海外で子育てをする家庭に向けて、おうちで無理なく日本語を続ける方法や、10代まで見据えた継承語教育について発信している。
「子どもの未来とルーツが豊かになる日本語教室 りんごっこサークル」を主宰。
ルーツとしての日本語で、子どもの未来と家族をあたたかく。
Instagram:@rie.ouchi.nihongo
