友人から、ハーグ条約の同意書を持っておいた方がいいよと言われました。
私は、離婚しているわけではなく、ただの旅行なのですが必要ですか?
ハーグ条約は,国境を越えた子どもの不法な連れ去り(例:一方の親の同意なく子どもを元の居住国から出国させること)や留置(例:一方の親の同意を得て一時帰国後,約束の期限を過ぎても子どもを元の居住国に戻さないこと)をめぐる紛争に対応するための国際的な枠組みとして,子どもを元の居住国に返還するための手続や国境を越えた親子の面会交流の実現のための締約国間の協力等について定めた条約です。日本人と外国人の間の国際結婚・離婚に伴う子どもの連れ去り等に限らず,日本人同士の場合も対象となります。
By 外務省
Contents
1. なぜハーグ条約が出来たのか
国際結婚が増加し、日本でも外国人専用の結婚マッチング業者が多数増える中、国際離婚も増加しているようです。
その上で問題になるのが、国境を越えた子の連れ去り問題。国際結婚が破綻して、一方の親が、もう一方の親に無断で子を連れて母国へ帰国してしまうということや、子を外国にいる元配偶者に会いに行かせたところ、その元配偶者が子を帰さずにそのまま手元に留め置くといった事例が多く発生し、大きな問題になっているんです。国をまたいだ契約を白紙にする時、既に存在する愛しい子供のことは白紙に出来ないですし、ずっと一緒に居たいと思う気持ちはわかりますからね。この問題、特に日本人女性が連れ去る件が多いそうです。
そういう問題があるので、作られたハーグ条約なのですが、離婚をしていない人にも適用されることがあるのです。
2. 飛行機に搭乗できないかもしれない?
離婚をしている、していないにかかわらず、片親と18歳未満の子供が飛行機に乗る時、もう片方の親のサイン入りの同意書を求められることがあります。
それが無いと、搭乗を断られることがあるのです!
3. それぞれの状況による必要な書類
両親が離婚していなくて、片親と18歳未満の子供が旅行する場合
- 同行しない片方の親のサイン入り渡航同意書
- 出生証明書または戸籍謄本コピー
- 同行しない親のサイン入りパスポートのコピー
両親が離婚していて、片親と18歳未満の子供が旅行する場合
両親が別居・離婚していて、養育権を共有している場合
- 上記書類に追加で、法的監護文書(裁判所からの判決文、戸籍等)のコピー
両親が別居・離婚していて、片親が養育権を持っている場合
- 上記書類に追加で、養育権を定めた書類(裁判所からの判決文、戸籍等)のコピー。
両親の片方が亡くなっている場合
- 上記書類に追加で、死亡証明書のコピー
18歳未満の子供が単独で旅行する場合
- 親(法定後見人)のサイン入り渡航同意書
- 出生証明書または戸籍謄本(抄本)コピー
- 両親または法定後見人のサイン入りパスポート
- 子供に会う人が、適切な身分証明書と許可を持っていること
4. ハーグ条約の同意書について
この同意書は、カナダ政府のウェブサイト上にダウンロードして使えるフォーマットが用意されていますが、特に形式は無く、裏紙にもう片方(旅行をしない親)の親の名前とサインと、「○○(娘/息子の名前)を旅行させます」という意思表示が書かれていれば、特に問題は無いとは言われます。
しかし、飛行機に乗る直前になって、この裏紙のサインは無効です!なんて言われて、飛行機に乗れなかったら、せっかく予定立ててたスケジュールが全て台無しになってしまうので、嫌ですよね。フォーマットが用意されているなら、それを使った方が無難そうです。
渡航同意書フォーム(英語)
5. まとめ
渡航同意書がなかったために出国を拒否されたということはまだありませんが、個別に審査を受けたという話は何度か聞いたことがあります。実際、私が先日、夫ナシで日本に帰った時は、同意書を見せてくださいと言われなかったので、一応パスポートと一緒に全て持っていましたが、カナダに帰って来た時にただ捨てることになりました。多分、きちんと用意しても特に必要ないことが多いとは思いますが、一度こじれたら大変なのがこういう法律関係です。万が一のことを考えて、必要な書類を準備しておいた方がいいでしょう。